“インド建築研修旅行” 顛末記 (その3)

村林俊治
 列車待ちのアグラのホームで近寄ってきた、可愛い女の子たちの年恰好は、小学生くらい。一様に右手を差し出してきた。
 握手!!・・・?
違った! ポケットから飴をとりだして2〜3個ずつ分け与えた。少し満足そうな顔。しかし飴は、すぐに無くなり、女の子の人数もいつ のまにか増えていた。 『あっ、又、一人来た。』 今度は、肩から提げていたリュックの網ポケットから覗いてる のど飴を見つけら れ、せがまれた。しかたがない、袋ごと気前良く大判振る舞いした。
廃線となった反対側のプラットホームで生活している家族の少年と目と目が合ってしまった。自分の弟の幼い頃とそっくりの顔。そば にいる大人(お父さんらしい)に、何やら耳打ちされていた。真っ黒の瞳は、見る見る爛々とかがやき、ニコ―ッ、ニターッ\(^o^)/ と、満面の笑みをたたえて こちらを見ているかと思ったら、次の瞬間には、嬉しそうに線路を横切って駆け寄ってきた。 『どうしょう、 もう、あげる飴が無い・・・。』 そんな思いに心を乱されながら、よく見ると、肩から大きな蛇をぶら下げていた。どうやら、彼の家族の 一員らしい。もうすこしで、こちら側のホームにたどり着くというところで、駅員に見つかり、彼は、自慢の家族を我々に紹介できぬま ま、こっぴどく怒鳴られて、すごすごと引き返して行った。
 翌日のカジュラホでは、砲弾型の塔状屋根が特徴的なヒンドゥー教寺院ジャイナ教寺院の見学をした。カジュラホで寺院建 築が盛んだった10世紀頃は、タントリズム(男女が肉体を交えることは宇宙と一体となること、とする信仰)が隆盛であった時期と 重なり、壁面を飾る無数のミトゥナ像(男女のおおらかな交歓の姿)の浮き彫り装飾は、大変興味深く、インド古来のおおらかな性愛 観の一面を感じさせられた。
 お土産にと言いながら、自分用に買ったカーマスートラ(性愛の技法などを彩色画で説いた性愛論書)を手に、カジュラホを後に ジャンシー駅から、夕刻発の列車で次の目的地となる石窟寺院のアジャンタヘ向かった。車中泊のため、夕食はホテルで用意した、 手で食べるカレー味の焼きそばと蒸し卵の弁当持込み。
(カジュラホ11世紀半ば/ヒンドゥー)

カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院
壁面を飾る彫刻群 神像やミトゥナ像 マニュキアをする女性像
ミトゥナ像
(カジュラーホ最大のヒンドゥー教寺院 ガンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院)

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